気密と計画換気③
前回、計画換気のために気密が重要と書きました。
次の話題は、どの換気システムを選択するかになります。
換気システムには、大きく第1種、第2種、第3種の換気システムに分類されます。
通常の住宅では第2種は使用されないので、第1種と第3種を取り上げます。
換気システムは給気口と排気口があり、排気口から家の中の空気を出して、その分給気口から空気を居室内に取り込みます。
この給気口と排気口の仕組みの違いが第1種と第3種の違いになります。
第1種は給気、排気ともに機械で行います。
第3種は給気は自然給気、排気のみ機械で行います。
また、第1種、第3種ともにダクトあり、ダクトレスの組み合わせがあります。
- 第1種ダクト式
- 第1種ダクトレス
- 第3種ダクト式
- 第3種ダクトレス
一般的なのは、第1種ダクト式、第3種ダクトレスでしょうか。
まず、第3種ダクトレスは、給気口が各部屋にあります。外から見かける丸みを帯びた下の画像のものですね。
この給気口から部屋に空気を直接取り込みます。自然給気なので、ファンがあるわけでもなく、単に穴が空いているだけです(もちろん、フィルターはありますが)。
排気口はトイレや廊下などに設置されます。排気口は機械排気のため、ファンを回して強制的に空気を排出します。換気扇と同じです。
つまり、排気口から強制的に空気を外に出すと、家の中の空気が減るため(負圧になる)、穴が空いている給気口から自然に空気が家の中に入ってくるという仕組みです。
ダクトレスというのは、排気口や給気口は直接部屋とつながっていて、ダクト(配管)を使って空気の出し入れはしていないということになります。
第1種換気ダクト式は、給気口、排気口ともに各部屋にあります。
給気、排気ともに機械換気なので、ファンを使って強制的に排気と給気が行われます。
ダクト式なので、給気口・排気口と外は直接つながっておらず、あいだにダクト(配管)が通っています。なので、各部屋からダクトを通して空気を1か所に集めて外に排出、また、外の1か所から空気を取り込み、ダクトを通して各部屋に空気を取り込みます。
第1種換気ダクト式は熱交換システムを持つものがあります。
冬に換気すると、部屋の暖かい空気が排出され、外の冷たい空気が取り込まれることになります。熱交換システムは、部屋の暖かい空気を排出する際に、その熱を外から取り入れた冷たい空気を暖めることに利用し、部屋には暖められた空気を送り込むことができます。第3種換気システムでは、通常この熱交換システムは持っていません。
さて、計画換気と換気システムの関係ですが、ここで気密性能が影響します。
第3種換気システムの給気は自然給気なので、気密性能が低い隙間の多い家では、給気口からではなく、想定外に家の隙間から空気が入ってくることになります。
そのため、空気がしっかり入れ替わるように、給気口と排気口の設置位置を設計したとしても、思ったように給気口から空気が入らず、空気が入れ替わらないところが出てくることになります。
特に、第3種ダクトレスでは排気口が各部屋にはなくトイレなどに限られるため、排気口に近い隙間から空気が多く入ってくることになり、排気口から遠い部屋ではうまく換気ができないということになりかねません。
したがって、第3種ダクトレスの換気システムで計画的に換気を行うには、高い気密性能が必要になります。C値として1.0未満は必要と言われています。
一方、第1種換気システムは、給気・排気ともに機械で強制的に換気が行われるため、隙間の影響が少なく、第3種ほどの気密性能は求められません。
ということで、選択する換気システムによって、必要とされる気密性能も変わってくることになります。
なお、気密性能は経年劣化をするようです。
木材の乾燥による収縮や地震の影響などで、隙間ができてC値が悪化するようです。
再測定されている方も見かけますので、参考まで。